■建築研究資料

鉄鋼系プレハブ住宅の火災実験

中村  賢一

建築研究資料  No.40,  1983,  建設省建築研究所


<概要>

  本報告書は、鉄鋼系プレハブ住宅の火災実験の結果を取りまとめたものである。この実験の目的は鉄鋼系プレハブ住宅の室内火災性状、内部火災の延焼拡大性状および各部位の防耐火性能を実大規模で明らかにすることにある。実験建物は延床面積約116m2 の2階建で、その構造はブレースパネル形式と呼ばれるものである。各室の天井と壁はロックウール吸音板と石こうボードによって不燃化し、また間仕切壁の開口部には木製防火ドアを設置した。
 実験結果は、内装不燃化と防火ドアの設置による各室防火区画化が、室火災の成長と室間の延焼拡大の抑制に大きな効果があることを明らかに示した。すなわち、各室の火災は外周壁の窓が大きく破壊されるまではフラッシュオーバーとならず、室内火災温度は比較的低かった。フラッシュオーバー以後、室内火災は約10分間定常燃焼状態にあった。また内部火災の延焼拡大は、出火室の火災から順次に隣接する各室の火災を経て拡大するという区画火災に形態をとった。
 このような実験結果から、本建物の壁、天井および防火ドアの構造は、通常の内部火災による加熱に15分程度耐える性能を有し、これらによって各室を防火区画化すれば、延焼拡大を十分に制御できるとの結論を得た。


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