東京都周辺区部における新規ミニ開発住宅の実態調査
須田 松次郎, 峯 成子, 森本 信明, 中大路 美智子, 他
第1研究部全員
建築研究資料 No.46, 1983, 建設省建築研究所
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<概要> |
本調査は東京都周辺4区(世田谷、大田、板橋、足立)をとりあげ、そこにおける道路位置指定による開発地の形態的特徴、ならびに入居者に対するアンケート調査の結果をとりまとめたものである。道路位置の指定は1000m2未満の開発規模のもので新たな道路が必要となる場合に行われるが、それが結果的には小規模な開発地における零細画地上に供給される分譲住宅という「ミニ開発」の定義にあてはまることになる。
本調査は開発地の形態的特徴をつかみ、空間的な改善手法(敷地規模の拡大、開発単位の拡大)の成立可能性を検討すること、ならびに入居者の特性をつかみ、ミニ開発需要の転換の可能性を検討することなどの基礎資料を得ることを目的としたも
のである。調査の結果より得られた結論は次のようなものである。
(1)周辺6区(4区に加え練馬区、江戸川区)の道路位置指定による開発地は建売分
譲住宅として供給が予定されているものが多い。
その開発面積は470m2〜580m2、区画数6〜8区画、ネットの1区画平均面積は
60m2〜110m2である。
(2)開発形態をみれば行き止まり道路が大半であり、旗竿敷地をとるものが多い。
隣棟間かくは大田区や足立区のものに1M未満の建てづまりが多い。
隣接して空地があるものは少なく、空間的に開発単位を拡大することは困難であ
ったとみられる。
(3)アンケートの対象となった住宅の部屋数は4室が最も多く、5室がそれに次いでい
る。前住宅に比べて約6畳程度の増大である。
(4)現住宅の選択にあたっては、通勤時間を重視したものが多く、前住宅通勤時間と
比較しても、ほぼ同じか減少気味であり、平均30分〜40分程度となっている。
(5)現住宅の価格は世田谷<一住>の2830万円から足立の1372万円まで巾は広い
。ただし同一地域内においては一定の価格帯に集中している。
(6)世帯主の職業は用途地域や区の違いにより様々であり、区部において戸建の分
譲住宅を求めようとした場合、その開発形態の多くはミニ開発の物件になるという
状況を示している。
(7)返済金の年収に対する比率は低収入層程高くなっており、返済率が25%をこえると
きびしい負担である」とするものが5割をこえるようになる。
(8)前住宅の転出理由は「住宅が狭かった」ことが最大の理由である。分譲マンション
と比較して選択しているものは少なく、戸建志向が強い。
(9)将来の住宅の希望としては、もっと部屋数なり広さが欲しいと答えたものが多く、
住宅の広さよりも庭を広くしたいと答えたものは少ない。
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