インドネシア語建築・住宅・都市分野翻訳支援システム
-SALINAN-
小林 英之
建築研究資料 No.66, March 1984, 建設省建築研究所
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<概要> |
当システムは、第一研究部全員で担当した重点研究課題「インドネシアの住宅都市開発」(昭和60〜62年度)の中で、その基本部分を作成したものであって、同時に昭和59〜61年度に、国際協力事業団による当研究所とインドネシア国公共事業省人間居住研究所との間で実施された研究協力事業「都市低所得階層の住宅政策の基礎的研究」を支援するために着手され、その後の継続的な国際協力活動の中で、随時改良を加えてきたものである。
先に、建築研究資料の第57号として公表した「インドネシア建築・住宅・都市用語辞書」(インドネシア語−日本語−英語対照で1900語)をベースとした当該分野の専門用語データをコアにしつつ、ワード・プロセッサ等で入力されたインドネシア語の文献、調査報告等を処理し、必要最低限の文法解析を行い、日本語に近い文章を出力する機能をもつSALINANを中心に、その作業を通じて、専門用語辞書の増補・訂正等の作業が円滑に行えるように補助プログラムを整備した。
使用する機器は、上記の状況に伴い、インドネシア側の人間居住研究所に供与されたマイクロ・コンピューター式(NEC社、PC-9801)を前提としている。OSはMS-DOSを用いてファイルを形成し、言語は、N88 BASIC COMPILERを使用した。
システムは、中心となるSALINANに加え、いくつかの補助プログラムから成っている。
本システムの特徴は、(1)対象とするテキストに用いられる単語が専門的である反面、その種類が少ないことに対応して、テキストに出現する単語に対応する専用の小さな辞書(部分集合)を最初に作ることによって、高速な変換を可能とし、変換結果を見て、辞書データの増補訂正を繰り返し行いながら、より正確な変換に近付けるようにしたこと、(2)上記の作業の中で、不明単語の意味を推定する(専門用語の場合、市販辞書には見いだせない場合が多い)作業を支援するために、膠着語であるインドネシア語の場合に多い、基本語からの派生語の生成の規則に基づいて、不明単語について、それのもとになっている基本語に還元して意味を推定するルーティンを組み込んだこと、の2点である。
本資料には、プログラム・リストに加え、作成の経緯、文法解析の概要、使用マニュアルを付した。
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