韓国都市計画の行政・法制の変遷:現行都市計画法令(訳)付
渡辺俊一
建築研究報告 No.128, September, 1990, 建設省建築研究所
|
<概要> |
本稿は、重点研究「都市計画の国際比較」の成果の一部であり、比較都市計画研究の立場から、韓国の都市計画を研究対象としている。すなわち、『韓国都市計画の行政・法制の変遷:現行都市計画法令(訳)付』の題名のもとに近年、独自の進展をみせている「韓国都市計画」の行政・法制の変遷を明らかにすることによって、その都市計画の特徴を解明したものである。
韓国における都市計画は、かつての日本支配下で形成されたという歴史をもつため、その解明にあたっては、わが国との関連づけを行いながら、今世紀初頭にまで遡る必要がある。
本稿は、序に続く第1章「都市計画行政の変遷」では、統監府時代、朝鮮総督府時代、戦前の地方制度、現在の中央政府、現在の地方制度、戦後の都市計画行政の所管課(1948〜1980年)、戦後の住宅・建築行政の所管課(1948〜1980年)について、組織図等を用いて明らかにした。
第2章「都市計画法制の変遷」では同様に、市区改正と建築取締、朝鮮市街地計画令、終戦後の法令、1962年都市計画法、1971年都市計画法の順に図表を用いつつ跡づけた。
第3章「韓国都市計画の特徴」では、大規模な土地区画整理事業とグリーンベルトとに象徴される、現代韓国との都市計画の特徴を「強力な公共介入」として位置づけ、わが国との対比を強調した。
なお、韓国の都市計画法を正確に理解するために必要となる若干の基礎的事項を、付章「韓国の法令等について」として付した。
さらに付録として、現行の都市計画法令の全体、すなわち、(1)都市計画法、(2)都市計画法施行令、(3)都市計画法施行規則、(4)土地の形質変更等行為許可基準等に関する規則、(5)都市計画施設基準に関する規則の5つの法令について、(1)〜(4)は全文を、(5)は条文名のみを、それぞれ日本語へ翻訳した。
|