■建築研究報告 |
人工軽量骨材コンクリートに関する研究 白山和久, 上村克郎, 飛坂基夫 建築研究報告 No.50, 昭和42年11月 |
<概要> |
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筆者らは,東京大学大学院在学中,浜田教授(現在東京理科大学工学部長)の指導のもとに,主に天然火山れきを用いた軽量骨材コンクリートの研究を行い,当研究所に移ってからもさらに研究を進めた。しかし,天然火山れきを用いた軽量コンクリートには多くの欠点があり,理想的な軽量骨材とは考えられないので,昭和35年より人工軽量骨材の研究を開始した。まず,人工軽量骨材の焼成による試作実験より出発したが,川砂利の不足等によって人工軽量骨材に対する一般的関心が深まり,昭和36年頃よりメーカーの試作品が現れだし,昭和39年からは本格的な製品が生産されるようになった。よって製法の研究はこれら生産者にゆずることとし,もっぱら試作品および製品に対する品質,使用法の試験研究を行ってきた。 一方建設省住宅局建築指導課においては,これらの研究の成果を取り入れ,昭和39年10月「人工軽量骨材を使用する鉄筋軽量コンクリート造構造基準」に関する通達を行い,人工軽量骨材コンクリートの使用方法について規定した。この基準は建築指導課により認定された人工軽量骨材についてのみ適用されるので,そのための試験が必要となる。 筆者らはこの認定のための試験要項(案)を作成し,この案による試験も行った。この報告はこれらの試験結果を取りまとめ,考察を加えたものである。認定された人工軽量骨材は現在(昭和42年8月)まで6社6種類であるが,その中の4種類は当研究所で試験したものである。認定される段階まで至ってないものや,試作品まで加えると相当な数の人工軽量骨材を手がけたことになる。 試験は長期間にわたり,かつ実施した試験シリーズも11回に及ぶので,便宜上,各シリーズごとの試験対象の骨材記号,およびそれに関連ある節をまとめて表1.1に示す。 人工軽量骨材の分類については,JISコンクリート専門委員会の中に設けられた軽量骨材分科会で,構造用軽量骨材について次のような分類案を出している。
本報告では,上記の用語によることとする。また,JISA5002「構造用軽量コンクリート骨材」の改定原案によればI類(主として人工軽量骨材)およびII類(その他火山れきなど)に分類されている。 |