■建築研究資料 |
No.207号(2023(令和5年)7月) 向井智久,渡邊秀和,中村聡宏,小原拓, |
<概要> | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011 年の東北地方太平洋沖地震や,2016 年の熊本地震では,建築物の杭基礎に発生した被害が原因で上部構造物が傾き,当該建築物が地震後継続使用できなくなる事例が報告されている。現行基準における杭基礎構造システムは,中小地震における損傷制御を目的とした設計が行われているものの,大地震後の継続使用性を確保するための終局限界状態の構造性能に基づく設計はほとんど行われていない。そのような中,建築研究所では2013 年から3カ年実施した研究課題「庁舎・避難施設等の地震後の継続使用性確保に資する耐震性能評価手法の構築」,基準整備促進事業課題である「基礎ぐいの地震に対する安全対策の検討」,2016 年より3 カ年実施した指定課題「既存建築物の地震後継続使用のための耐震性評価技術の開発」において,杭体やパイルキャップなどからなる杭基礎構造システムの大地震時の損傷評価を目的として,東北地方太平洋沖地震や熊本地震における地震被害の収集・分析や被害再現のための構造実験,地震後継続使用性を確保するための構造計算方法について検討を行ってきている。その検討において,靱性のある既製コンクリート杭の開発,杭頭接合部で破壊する場合の構造性能評価,パイルキャップのせん断終局耐力の評価等に関して課題を残していた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|